ソロなら違うゲームに退避しても良さそう
まずFallout76のレビューをするにあたって前作のFallout4との比較が多くなってしまう点にご了承いただきたい。そして筆者はFallout4が大好きで、ゲームは基本ソロプレイだ。
そんなソロプレイ大好きな筆者の結論は「今Fallout76をモヤモヤした気持ちのままプレイするよりは、改善されたFallout76をスッキリとした気持ちで楽しみたい」ということ。発売当初時点でのFallout76はソロプレイでは正直あまり楽しめない。今回のレビューの概要は以下の通りだ。
- NPCが存在せず会話の楽しみがない
- たった4,5時間のプレイでアイテムは容量の限界となり探索の楽しみがない
- ビルドは没個性的でパークを取る楽しみは薄れた
- でもマルチだとこれら不満要素を吹っ飛ばすほど面白そう
マルチプレイなら様々な不満要素を吹っ飛ばすだけのポテンシャルを秘めてはいるが、ソロならアプデを待ってもいいかもしれないというのが筆者の結論だ。
マルチ版Fallout4がFallout76の正体だが
さてFallout76を簡単に説明するとFallout4をマルチプレイ仕様にしたもので、これが今作の正体。こう表現すると「Fallout4+マルチ=Fallout76」に見えるが、実際はマルチへの仕様変更のために様々な要素が制限や変更され犠牲になった。
つまりソロプレイだと「Fallout4-様々な要素=Fallout76」となるわけだ。
マルチプレイに変更になったので様々な仕様が変わるのは当たり前。マルチプレイのゲームでソロプレイの方が楽しいなんてこともまずない。だからソロプレイは退屈という評価はFallout76の評価を落とすことにはならないはずだ。当たり前だからである。さらに言うとFallout76はナンバリングタイトルですらない。
とはいえFalloutは今までソロのゲームだったので、Fallout76をプレイしてみてガッカリしている人も多いはず。筆者もその一人である。ではどこにガッカリしなければいけなかったのかを解説していきたい。
NPCがいないという喪失感
Fallout76にはプレイヤーがワールド内に32人存在する代わりにNPCが完全に削除された。マルチプレイで会話イベントが発生してしまうと、その会話の外にいるプレイヤーとの同期が難しいからだろう。フラグの回収などもごちゃごちゃになる。
これは事前に散々アナウンスされていたし、マルチプレイだから致し方ないと理解はできる。だが発売前から特に不安視されていた点であり、実際にソロプレイでNPCが存在しないとなると予想以上に味気ないゲームになったと感じた。
プレイヤーが意思を表明する機会はなく、さらにクエストをクリアしても誰からもリアクションを得られない。各キャラクターのリアクションやその後の変化もクエストの大きな報酬となっていたので、クエストはかなり無機質なものとなってしまった。
ストーリーは録音されたテープを聞くことで進行し、主人公が何か返答を選択したりリアクションすることはない。
ソロにおけるマルチ要素
発売初日やベータ時はメインクエスト周辺に人が集まり、その様は観光客御一行さながら。そのためプレイヤーと会う機会が多くあまり寂しい感じはせず緩く協力プレイをしたり、エモートで遊んだりとソロでありながらマルチプレイを色濃く感じていた。
なるほど。NPCの代わりにプレイヤーと緩くコミュニケーションを取るのはなかなか楽しいかもしれない。だがそれは序盤だけだった。というのも少しゲームが進行すると各自行きたいところに探索に出るため、他プレイヤーを見かける頻度は著しく減る。
見かけてもお互いそれぞれやりたいことがあるので、ただ無言ですれ違うだけということが多い。ソロなので当たり前だが、やっぱり寂しい。
アイテムの容量制限問題
MMOあるあるだがデータが重くなるため、保持できるアイテム数に制限がある。Fallout76では自拠点の収納ボックスにも制限があり、なんにも考えずに拾得物を放り込めば4,5時間のプレイで制限に引っかかるありさまだ。
またキャンプでは様々な建築ができるがこれまた制限が大きく、あまりこだわった建築はできない。MMOなんだから仕方ないという意見も理解できるが、様々なものを拾い集めて建築を楽しむというのもFallout4の醍醐味の一つだったので、大きく楽しみは削られた。
さらにアイテム保持容量が著しく少ないのは、Falloutの楽しみのメインである探索の意味を大きく失わせる。道中たくさんのアイテムを拾いスタッシュにまとめて突っ込むまでがFalloutの探索だ。現状の容量では探索する意味が薄い。
ファストトラベルの制限
マルチだからなのか、それともFallout76の世界観なのかはわからないが、ファストトラベルはゲーム内通貨のCAPを使用しなければ使えなくなった。遠ければ遠いほど支払うCAPが高くなり、決して使えなくはないが頻繁に使える設定ではない。
長い移動を強いられてもマルチならVCで時間をつぶせるが、ソロは淡々と特にキレイでもない景色を見ながら走り続けなければならない。さらに今作はMAPの高低差が激しく、直進できないケースも多いためストレスフルだ。
ビルドは没個性的なものに
Fallout76ではパークをいつでも差し替えできるようになったため、1キャラで大抵のビルドが組めてしまい2キャラ目を作るというモチベーションはなくなった。
さらにパークの効果もかなり控えめになっており、例えばハンドガンのダメージアップに関して言えばFallout4がMAX100%アップだったのに対しFallout76はMAX20%とかなり下がっている。つまり何かにトガったキャラクターを作れなくなり、ビルドの楽しみは大幅に減ってしまった。
パークが弱体化した代わりとしてアイテムの装備にはレベル制限がかかり、レベルを上があがることでより強力な装備を整え主人公を強化するという極めて平凡システムに。
ビルドの面白さがなくなるということは、レベルを上げるモチベーションを削ぐ。「あのパークがどうしても欲しい・・・」と渇望しレベル上げに勤しむのがFallout4だった。しかし今作にはそこまでして取りたいパークはなく、目指すビルドもない。
Fallout76をやめるのではなく退避
NPCが存在しないのはマルチプレイというコンセプトなので良しとしよう。だが「探索」と「キャラの成長」というFalloutにおける2大要素が死んでしまっているのは本当にいただけない。細かいことを言えばバグやラグもしっかりと実装されている。
だが筆者は決してFallout76をあきらめたわけではない。アイテムの容量に関しては改善すると公式が明言しているし、今後も様々な追加要素に取り組むとのこと。正直アイテム容量は今の10倍は欲しいけどそれは無理かしら。。。
ともかくそんな感じなので今Fallout76をモヤモヤした気持ちのままプレイするよりは、改善されたFallout76をスッキリとした気持ちで楽しみたいと思った次第だ。そしてそれまでは別のゲームに退避したいと思う。筆者がVaultから出るには少し早すぎた。ソロプレイなので別に他のプレイヤーが少なくなっても何も問題はない。
でもまあマルチプレイのゲームだから
色々とネガティブなことを書いてしまったが、そもそもFallout76はマルチプレイをコンセプトとしたゲームでありナンバリングタイトルではない。極端な話スマホアプリ版Falloutみたいなスピンオフタイトルだと思えば心も安らぐ。
そしてなにより
ベゼスダ「マルチプレイのゲームって言ってんだからマルチでやれってんだ!」
に尽きる。
様々な要素は削られ無機質にはなったが、フレンドとFalloutの世界を走り回るという楽しみ方を得てようやくトレードオフが成立するのだ。筆者はマルチプレイを体験してはないが、少なくともYouTubeで見る限りはマルチプレイはとんでもなく楽しそうに見える。その様は筆者が上げた不満点などはまるで些末な要素と言わんばかりである。
結局Fallout76をソロプレイして思ったのは、気が許せて、ゲーム好きで、筆者がやりたいときにいつでもゲームに付き合ってくれる都合の良い友人が欲しい人生だったということだった。
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