ディアブロ3やGrim Dawnなどの王道ハクスラと比較して、ボーダーランズ3はどういった評価になるのか。このレビューはハクスラに軸足を置いたレビューで、全方位から評価するものではない点に注意。
なので「ハクスラやりたいけど、ボダラン3ってどうなの?」という特定の人向け。「ボダラン3って面白い?どんなゲーム?」という人向けではない。
ハクスラを楽しみたいなら肩透かし
結論を言ってしまうとディアブロ3やGrim Dawnなどの王道ハクスラを期待してしまうと肩透かしを食らう。あくまでFPS×RPG×ハクスラの化学反応が面白いというゲームだ。
ボーダーランズ3においてハクスラの要素はゲーム全体の一部に過ぎないし、そこに特化できない作りになっている。もちろんゲームとして王道ハクスラに劣ると言いたいのではなく、ハクスラの部分が浅いということだ。
装備部位が少ない
ディアブロ3や Grim Dawnは武器防具含めると10以上の装備部位があり、さらに装備に対する追加オプションや強化の要素がある。
一方ボーダーランズ3には武器4種、グレネード1種、他3種の計8種だが、使用する武器は実質2種程度なので、実質必要装備部位は6種程度。強化や追加オプションはない。
そのためビルドの幅が狭く、またビルド完成までの寿命は短い。王道ハクスラと比較すると致命的と言える。
じゃあなぜ装備部位を増やしたり、強化などの要素を追加しないのか?このあたりのシステムはボダラン2から変わっていないのはなぜかを少し解説したい。
FPSという縛り
まず根本的にFPSとTPS(便宜上シューティングという意味合いはではなく一人称と三人称という使い方をする)とでは全く操作感が違う。どちらが自由度が高いかと言えば圧倒的にTPSで、FPSだとできないことがあまりに多い。
王道ハクスラにありがちな瞬間移動系のスキルをFPSに持ち込むと画面酔いが起こるし、自分の位置の把握が難しい。
回転系の攻撃もFPSだとまず酔うし、後ろが見えないので後ろに攻撃する必要がないし、そもそも後ろに敵がいる状況を作らないように立ち回る。
目の前に雷が落ちたり、大きな爆発が起きたり、大量のペットを召喚する派手なスキルも、FPS視点だと視界を著しく悪くするため向いていない。
その結果、視界に影響を与えにくく前方を攻撃できる「銃」がFPSの肝となる。逆に言うと銃以外の攻撃方法はあまりFPS向きではないのだ。
ビルドも狭い
前述の通りFPSは銃以外の攻撃に向いていないため王道ハクスラのように多様なスキルは用意されておらず、銃で攻撃するのが基本行動となる。
もちろんその銃に様々な効果や特徴が付与されているが、ゲームプレイがガラリと変わるかと言うとそうはならない。当然だが如何に銃が変わろうと敵を狙いトリガーを引くだけだ。
キャラのレベルアップによって得られるスキルはほぼ全てパッシブスキルで、射撃を補完するものに過ぎない。
多様な装備はそもそも不要
できることは少なくビルドの幅も王道のハクスラに比べて狭いので、結果的にたくさんの装備部位は必要ない。
またビルドと数値とでゴリ押しする王道ハクスラに比べ、立ち回りとエイムを必要とするFPSは細かい数値上昇にこだわるより、プレイスキルを磨く方がはるかに重要だ。
何しろ頭部などの急所にあたればダメージ2倍なので、多少の数値の差は簡単に埋められるし、頭部にあたらずとも命中率が10%上がれば、火力も10%上昇する計算だ。
なので数値をちまちま上げたり、ちょっとでも数値の高い装備を探す楽しみはあまりなく、アイテム堀りに関しては王道ハクスラに比べれば寿命はかなり短いと言える。
ボダランの魅力とは
さてここまで読んできてFPSをプレイしたことある人はこう思ったことだろう。「いや、FPSってそうゆうもんじゃん」と。
全くもってその通りで、FPSは敵をエイムして打ち抜く爽快感が醍醐味であり、その核となる部分を「ずっと銃撃ってるだけで退屈」と評すことの無意味さは重々承知している。
あくまでボーダーランズ3の魅力は「王道RPGほどストーリーに集中する必要はなく」「PvPのFPSほどスキルを必要とせず」「王道ハクスラほどやり込みを必要としない」けどRPG×FPS×ハクスラの良いところを体験できるという点だ。
既存の3ジャンルを見事に融合して、新たなジャンルを築き上げたと言っていい。ハクスラのみを期待するには少し心もとないが、FPSが好きな人なら間違いなく楽しめるだろう。
ハクスラで語るのはナンセンスだが
上述の通りボダランを単なるハクスラゲーとして語るのはナンセンスだが、それでもハクスラとして語りたくなるのは、王道ハクスラの新作がないからだ。
ハクスラを求め彷徨う亡霊達の行きつく先はどこになるのだろうか。ディアブロ4・・・。
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