BFVのGG(接戦)システムをどう評価すべきか?

GGシステムはユーザーに対する75点の回答

筆者はこのGG(Good Game)システムに関しては大いに賛成派で、一方的な試合が減り人為的ながら最後まで緊張感のあるゲームを楽しめている。

ではGGシステムが大満足かと言えば全くそうではない。GGシステムはユーザーに75点の回答をDICEが選択した結果であり、明らかに100点を目指したものではないからだ。かといって「100点を目指します」「頑張ります!」と言われ続けてずっと30点のままよりは断然いい。

少なくとも筆者はBFにおいてチームバランスを完璧にとることは不可能だと思っている。だからこそ「チームバランス100点を目指します!」とその場しのぎの嘘を言われ続けるよりは「無理なんで75点で我慢してください!」という妥協案を強く支持したい。だって無理なんだから。

確かにGGシステムはゲームを勝負とした見たときにフェアではない。だがBFには勝利に対するインセンティブは用意していないし、プレイヤーのスキルランクも用意されていないため一方的に勝ったゲームよりも、接戦で負けたゲームの方が個人的には断然楽しい。

本当にプレイヤーの振り分けでバランスはとれない?

もちろん毎回実力が拮抗したチーム同士で戦い、その結果として毎回拮抗したゲームになるのが100点だ。めちゃくちゃ熱い試合になるだろう。そしてDICEもそれを目指しているはずだが実際に過去作のBFにおいて拮抗したゲームになるのは稀だ。

じゃあDICEはゲームバランスの調整を怠っているかと言えばそうではないように思える。例えばBFVのインタビュー動画で以下のようなやり取りがあった。

マップの一部の遮蔽物の調整をするために似たビルドを14回試行する開発現場が「でもチームバランスは適当でいいや」とあべこべな考えに至るだろうか。これだけ調整したマップもチームバランスが歪んでいれば意味はなさない。だからこそチームバランスにもすさまじい力を注いでいるはずと考えるのが普通ではなかろうか。

そしてチームバランスの調整に凄まじいまでの力を注いで無理だったとすれば、それはもう無理なのだ。DICEというと悪代官の名前のように聞こえる人もいるだろうが、開発現場でモノづくりをする一人一人のクリエイター達はそれぞれ情熱やこだわりを持って取りんでいるはずである。

戦力と内容にはズレがある

さらに言うとチームの戦力に関しては毎回数値上の拮抗は取れているはずだ。過去のキルデスやスコアの平均を両チームが均衡するように振り分ければ、大体の戦力バランスはとれる。もちろんアルゴリズムは精度を高めるためにもっと複雑だろう。

それでもダブルスコアを超える一方的なゲームが多いのは、そのゲーム内におけるちょっとした流れや偶然の事象が大きいように思う。ちょっと押され出したらゲームから抜けてしまったり、分隊員が使えないという理由でやる気を失ったり、トッププレイヤーがミッションクリアのためにハンドガン縛りでプレイするなど要因はまさに不特定多数だ。

これらの不特定多数の要因によって流れが発生し、負け側はやる気と人数を削がれていくというのが一方的なゲームの正体だろう。つまり事前に戦力を拮抗させることは十分可能だが、ゲーム内容を拮抗させるのは全く別の話だということだ。

だからゲームの中間結果に対してアクションを起こし、強制的に拮抗させるほかに手段がないと考える。

実は結構深いシステム

とはいえGGシステムは負けている側を優遇する単純で理不尽なシステムと考えるのは尚早。そもそもGGシステムは負けている側の拠点キャプチャ速度を上げ、勝っている側のキャプチャ速度を下げるシステムだ。もちろんキャプチャ速度が変わるだけで、両軍の兵士が同数ずつエリアに入っている場合は制圧できない。

そして勝敗を決するチケットは制圧拠点の数が多いほど減り、またデスが確定した時にもチケットが減る。これを踏まえてGGシステムが作用すると以下のような状況が生まれる。

  • 勝ち側:拠点の防衛>>>>拠点の制圧
  • 負け側:拠点の制圧>>>>拠点の防衛

負け側は防衛なんかしてないで、さっさと制圧に向かったほうが効果的だ。逆に勝ち側は拠点の制圧難易度が跳ね上がるため相対的に防衛することが勝ち筋となる。もしGGシステムに褒められる点があるとすればコンクエにおける「防衛」の価値上げたことに尽きると思う。

コンクエにおける拠点防衛の価値

はっきり言ってコンクエの防衛は退屈だ。敵が来るかもわからないポジションでひたすら待っていて、裏取りの一人を倒したところで1キルでしかない。価値としては1エリアを制圧したのと同じ働きだが、はたから見ればなんでもないただの1キルだ。

だから大抵のプレイヤーはこぞって敵地に飛び込み、キルや制圧ポイントを稼ぎに出る。どんなゲームやスポーツでもありがちだが、ディフェンスは評価されにくいため敬遠されがちだ。

コンクエは攻防が入り乱れる見せかけて攻撃が8割を占めるルールだがGGシステムによって「勝ち側が防衛」「負側が攻撃」と役割が明確にわかれ、防衛に価値を見出すシステムともいえるのだ。

ただワイワイ楽しめるBFでここまで考えるプレイヤーは少数なので、GGシステムが作用しているときは勝ち側で「防御したほうがお得だよ!」的なアナウンスは流してほしいとは思う。防衛の意識が上がればほぼ死んでいる建築の価値も飛躍的に上昇し、コンクエはより一層盛り上がるはずだ。

GGシステムで負けた時

逆転負けを喫した筆者

もちろん筆者自身GGシステムのせいで負けたゲームも経験したし、勝ったゲームも経験した。その上で思い返すと勝った時は「最後の押し込み逆転できた!エリアCで敵の裏取れた時はアツかった」と勝因を饒舌に語れるのに対し、負けた時は「GGシステムのせいで負けた!」というたった一言の感想を持ったようにも思う。

そして人間なんてそんなものだ。だからどうしてもGGシステムが不利に働いた時の記憶が強く残る。だが筆者自身を戒めるためにもちゃんと防衛すれば勝ち側が一方的に押されるシステムではないということを書いておく。

ちゃんと守れば勝てる

あくまでキャプチャ速度を優遇するものなので、敵と同人数でエリアを守るか敵に撃ち勝てば普通に守れる。GGシステムが働いているとはいえ、勝ち側がエリアを奪われたのは結局守る人数が少なかったか敵に撃ち負けたかであり、大抵は前者だ。

そしてゲーム内でこれが啓蒙されていないため、勝ち側があられもなく蹂躙されるような事態になる。なので繰り返しになるが、勝ち側でGGシステムが作用しているときは「攻めても無理だから防衛しろ!」的なアナウンスが欲しいとは思う。

ビークルのリス時間の優遇は疑問

ただ一点GGシステムで納得いかない点がある。それはGGシステムに負け側のビークルのリスポン時間が優遇されるという効果がある点。前述の通りチームの戦力自体は事前に大体のバランスがとれるはずで、戦力に関しては変更を加える必要がないからだ。

つまり戦力は拮抗しているのに何かのきっかけで流れが発生しゲームが一方的になる。だからシステムによって強制的に流れを変えるというのがGGシステムの根幹であるはずだ。にも関わらず明確に戦力に変更を加えるのは筋が通っていないように思える。

退屈な試合がなくて楽しいよね

色々と書いたが、BF1に比べると退屈な試合の割合が非常に少ないためプレイしていて楽しいというのが感想だ。勝つにせよ負けるにせよ「勝ち甲斐のあるゲーム」「負け甲斐のあるゲーム」が増えた。

フェアではないが楽しい。これは十分両立するしゲームだからこそ許される。さらに言えばコンクエはいわゆるパーティーモードで、競技性は元々非常に低い。

GGシステムは賛否両論と言われているが、慣れないシステムに一時的に拒否反応を起こしただけでだんだんと馴染んでいくだろうと思う。

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